ワークルールブック

PART1 働くための準備

Q.9  「内定取り消し」って、どんなときになるの?

A.  内定取り消しは、解雇と同じ。相応の理由がないと認められません。

うやく内定! そう思ったら突然の内定取り消し。経営の悪化などを理由に、こうした事態に遭ってしまうことがあったら―。ただし、企業には「採用内定取消しを防止するため、最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講じること」が求められています。内定取り消しはやむを得ない場合のみ認められることであり、容易に認められるものではありません。内定取り消しのリスクが最小限になるような企業選びや自身の振る舞いが必要ですが、一方では簡単に受け入れてしまわず関係機関に相談するようにしましょう。

 ここがポイント!

  • 採用内定通知の時点で「労働契約」は成立
    一般的に、企業から求職者に対して採用内定通知をした時点で、そこで働く「雇用契約」が成立しています*。そのため、企業が一方的な都合によって内定を取り消すことは解雇と同じになり、原則的にはできません。
    ※一定の場合には解約するという解約権の留保付きではあります。
  • 相応の理由が有る場合に限り内定取り消しも
    ただし、取り消しが適法になるケースもあります。以下に例を示しておきますので、もしもそれ以外のケースで内定取り消しを通告された場合は、相談先の機関に相談しましょう。相談先一覧はこちら

内定取り消しになりうるケースの例

 会社の経営状態が極端に悪化した場合

企業の業績が非常に悪化し、従業員ですら整理解雇しなくてはいけない状況になったとした場合。ただしこれも、採用の時点で予見できなかったような状況が生じた場合に限られます。

 内定者が内定後に病気やけがなどで勤務が難しくなった場合

労働契約は、基本的には長期間にわたって働ける状態を前提としているので、それが難しくなるようなけがなどが生じた場合には内定取り消しになることがあります。

 内定者が申告していた経歴などに虚偽があった場合

学歴や資格、企業が提出を求めた書類などに重大な虚偽があり、それによって従業員として不適格だと認められる場合には内定取り消しが認められることがあります。

 学校を卒業できなかった場合

新卒採用を行う企業の場合、多くは3月31日時点での大学卒業、4月1日からの勤務を条件に採用内定を行っています。したがって、この場合も内定取り消しになることがあります。